トラック新法とは?5つのポイントと対応策を徹底解説!

トラック運送業界が大きな変革期を迎えています。2025年6月11日に公布された「トラック新法」により、運送事業者は新たなルールに対応する必要があります。この法改正は、ドライバーの労働環境改善と業界の健全化を図るため、許可更新制や適正運賃制度などの画期的な仕組みを導入するものです。

本記事では、トラック新法の概要から具体的な5つのポイント、業界への影響、そして運送管理システムの重要性まで、わかりやすく解説します。

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目次

トラック新法とは?成立の背景をわかりやすく解説!

トラック新法の成立背景には、物流業界が直面する深刻な「2024年問題」があります。2024年4月からトラックドライバーの時間外労働に年960時間の上限規制が適用され、これまでの長時間労働が制限されることで輸送能力の大幅な不足が懸念されています。トラック新法とは、2024年4月26日に国会で可決・成立し、同年5月15日に公布された「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」の総称です。

正式名称は非常に長いため、業界では「トラック新法」と呼ばれています。国の試算では、何も対策を講じなければ2024年度には14%、2030年度には34%もの輸送能力が不足するとされています。この危機的状況を乗り越えるため、トラック新法では運送事業の構造改革と労働環境の改善を両立させる施策が盛り込まれました。

これらの規定は2025年4月1日から施行されており、従来の多重下請構造や違法な運賃契約などの問題にメスを入れ、持続可能な物流体制の構築を目指しています

トラック新法の5つのポイントを解説!いつから適用されるのか?

トラック新法では、段階的に施行される5つの重要な制度改正が行われます。これらの制度は運送業界の透明性向上と適正化を図る内容となっており、2026年6月までと2028年6月までに段階的に導入される予定です。各制度の詳細な内容と施行スケジュールを正確に把握することが、事業者にとって重要な対応準備となります。

特に許可更新制や適正運賃制度は、業界の商慣行を根本から変える可能性があり、早期の準備が事業継続の鍵となるでしょう。

① 許可は5年ごとに更新するルール(2028年までに)

これまでトラック運送事業の許可は、一度取得すれば基本的にそのまま継続できました。しかし、トラック新法の導入により、2028年6月までに5年ごとの許可更新制が適用される予定です。

この新たな制度は、2025年6月11日の公布日から3年以内に施行されます。事業者は一定期間ごとに、安全管理体制や法令遵守の状況について定期的な審査を受けることとなり、審査基準を満たさない場合は許可の更新が認められず、事業の継続ができなくなります。

この仕組みは、学校の進級審査のように、常に適正な運営ができているかをチェックされるシステムです。許可更新制の導入により、悪質な事業者の排除が進み、業界全体の健全化が期待されています。その一方で、事業者にとっては更新手続きの負担や、審査基準への対応といった新たな課題も生まれるでしょう。

② 運賃が安すぎるのを防ぐ適正運賃制度(2028年までに)

2028年6月までに導入される予定の「適正運賃制度」では、国が燃料費・人件費・減価償却費などを考慮した「適正原価」を告示し、それを下回る運賃での契約が原則として禁止されます。この制度は、2025年6月11日の公布日から3年以内に施行される見込みです。

従来の「標準的運賃」はあくまで目安であり、法的な強制力がなかったため、荷主が必ずしも従う必要はありませんでした。しかし、新しい制度では法的根拠が与えられたことで、荷主は正当な理由なく適正運賃を下回る金額で取引を一方的に要求することができなくなります。加えて、行政機関が不当な低運賃による取引に対して指導や是正勧告を行えるようになる点も大きな特徴です。

この制度によって、ドライバーの賃上げの原資が確保されやすくなり、収入の安定が期待できるようになります。運送事業者にとっても適正な利益を確保しやすくなり、持続的で健全な経営基盤の構築につながるでしょう。

③ 下請けは2次請けまでに制限(2026年までに)

多重下請け構造の是正を目的として、再委託は2回まで、つまり2次請けまでに制限される新たなルールが2026年6月までに設けられます。この制度は、公布日から1年以内の施行を予定しています。

これまでの物流業界では、元請けからさらに複数の下請けへと何段階も委託が行われ、そのたびに中間マージンが発生していました。その結果、実際に運送作業を担うドライバーに十分な報酬が行き渡りにくいという問題が起きていました。今回の2次請けまでの制限によって、流通の効率化と中間マージンの抑制が期待でき、ドライバーへの正当な報酬が確保される環境が整います。

ただし、現状の取引関係を見直す必要のある企業にとっては、大きな変革となるでしょう。元請け事業者には、下請け業者とのより直接的で責任ある関係の構築が求められるようになります。この制度により、取引の透明性が高まり、公正な競争環境の実現にもつながります。

④ 無許可トラック(白トラ)の取り締まりが強化(2026年までに)

トラックの新たな法改正により、運送業の許可を持たずに有償で荷物を運ぶ違法行為、いわゆる「白トラ」と呼ばれる無許可事業者への委託が厳しく禁止され、これに対する取り締まりが大幅に強化されます。

特にポイントとなるのは、無許可業者だけでなく、それらの事業者に運送を依頼した荷主側にも責任が課される点です。これにより、違法な運送委託の根絶を目指しています。

この新制度は、2025年6月11日の公布日から1年以内に順次施行され、2026年6月までに導入される予定です。これまで重点的に罰則の対象となっていたのは無許可事業者側でしたが、今後は荷主企業にも法的な義務と責任が拡大され、「委託先が許可業者かどうか」を確認することが強く求められます。そのため、荷主は今まで以上に慎重に業者選定を行う必要が出てきます。

また、軽トラックを使って運送事業を行う個人事業主についても、運行管理者の選任など新たな義務が課され、違反した場合には罰金が科される可能性があります。これらの規制強化により、正規の運送事業者が正当な仕事を受けやすくなり、業界全体の健全化がますます進んでいくことが期待されます。

⑤ ドライバーの待遇確保が義務化(2028年までに)

トラックの新法改正により、事業者は「労働者が持つ知識や技能、その他の能力を公正に評価し、適正な賃金を支払うなど、適切な処遇を確保するための措置を講じること」が義務付けられました。この新しい制度は、2025年6月11日の公布日から3年以内に施行される予定で、2028年6月までに導入されます。

これにより、単に低賃金でドライバーを雇うのではなく、一人ひとりの能力をしっかりと見極め、その評価に見合った待遇を提供する必要があります。こうした取り組みは、ドライバーの社会的地位や業界全体の魅力を高める効果が期待されており、結果として人材の確保や定着にもつながるでしょう。

また、従来の年功序列に偏った処遇から、能力や成果を正当に評価する制度への転換を促す狙いもあります。この変化によって、運送業界はより公正で競争力の高い環境へと進化していくことが期待されています。

トラック新法が運送業界に与える変化とは?

トラック新法の施行により、運送業界では従来の商慣行から大きな変化が求められることになります。これらの変化は業界の健全化に寄与する一方で、事業者にとっては新たな対応課題を生み出すことにもなるでしょう。特に中小事業者にとっては体制整備の負担が大きくなる可能性があります。

しかし、適切な対応によって競争力の向上や持続可能な経営などさまざまな恩恵を受けることができます。ここで正しく対応していくために、トラック新法改正によってどのような影響が起こりうるのか解説していきます。

白トラの規制強化

無許可トラック(白トラ)の規制強化により、業界全体の健全化が進むと考えられます。軽トラックを使用する個人事業主に対し、運行管理者の選任、定期講習の受講、事故発生時の報告義務が新たに設定され、違反した場合は最大で100万円以下の罰金が科されるようになります。

この規制強化により、これまで無許可で運送業を行っていた事業者は、適切な許可を取得するか業界からの退場を余儀なくされます。正規の運送事業者にとっては、不当な競争からの保護という大きなメリットがある一方、業界全体では一時的に運送能力の減少が生じる可能性もあります。

また、荷主企業にとっても委託先の許可状況確認が重要な業務となり、コンプライアンス体制の強化が求められるようになります。委託契約時の確認業務や定期的な監査体制の構築など、新たな管理業務が発生することになります。

法令遵守意識が高めないといけない

許可更新制の導入により、運送事業者の法令遵守意識は大幅に向上することが予想されます。現行制度では一度許可を取得すれば更新は不要であり、報告義務や監査によって事後的に規制する仕組みでしたが、法令違反を繰り返す悪質業者が市場に残存し、ドライバーの長時間労働や過当競争を招く一因となっていました。

5年ごとの更新制により、事業者は継続的に安全管理体制の維持や法令遵守に努めなければなりません。これは単発的な対応ではなく、日常的な業務プロセスとして組み込む必要があります。運行管理、労務管理、安全管理など、あらゆる面での体制強化が求められるでしょう。

この変化により、一時的には事業者の負担が増加する可能性がありますが、長期的には業界全体の信頼性向上と持続可能な成長につながると期待されています。

標準的運賃の厳格化

適正運賃制度の導入によって、これまで業界内で自主的に進められてきた運賃適正化が、法的な拘束力を持つようになります。これにより、荷主が正当な理由なく標準的運賃を下回る運賃での契約を一方的に要求することが難しくなります。さらに、行政機関が標準的運賃に基づき、不当な低運賃での取引に対して指導や是正勧告を行うことが可能になります。

この新制度によって、運送事業者は適正な運賃で契約を結びやすくなり、経営の安定化につながります。一方で、荷主企業にとっては運送費用の透明性が向上する反面、これまでよりも高い運送費を負担するケースが出てくるかもしれません。

しかし、この変化は単なるコスト増ではなく、適正な価格で持続的に安心して物流サービスを受けられるという大きなメリットがあります。運賃交渉の透明性が高まり、運送事業者と荷主の双方にとって、より合理的で納得感のある契約関係が築かれることが期待されます。

二次下請け以降を原則禁止

多重下請構造の制限により、物流業界の取引関係は大幅に見直されることになります。二次下請以降を原則禁止することで、より透明性の高い取引関係を構築し、ドライバーの待遇改善につなげることが期待されています。

この変化により、元請け事業者は下請け業者との直接的な関係構築が求められるようになるでしょう。従来の多層構造に依存していた事業者にとっては、取引先の見直しや業務プロセスの再構築が必要となる可能性が高いです。また、実運送を担う事業者にとっては、より直接的な取引関係により適正な運賃を受け取りやすくなる一方、元請け事業者との直接的な責任関係も生まれることになります。

中間業者の役割が縮小される一方で、元請けと実運送事業者間の連携強化が重要になってきます。効率的な配車システムや情報共有体制の構築が、新たな取引構造に対応するための鍵となるでしょう。

業界への影響と今後の展望

トラック新法の施行により、運送業界では大幅な構造変革が進むことが予想されます。短期的には事業者の負担増加や運送能力の一時的な減少が懸念されますが、中長期的には業界全体の健全化と持続可能な成長が期待されています。

特に、適正運賃制度の導入により、これまで価格競争に巻き込まれていた運送事業者が適正な利益を確保しやすくなります。また、ドライバーの待遇改善が法的に義務化されることで、業界の魅力向上と人材確保につながる可能性があります。許可更新制の導入により、継続的な法令遵守と安全管理体制の維持が求められるため、事業者の質的向上も促進されるでしょう。

これらの変化により、物流業界はより信頼性の高いサービス提供が可能となり、社会インフラとしての重要性がさらに高まることが期待されています。さらに、デジタル技術や自動運転などの新たなテクノロジー導入も活発化しており、現場の効率化や労働環境のさらなる改善が進むでしょう。


事業者が今すぐ取り組むべき対策

トラック新法の施行に伴い、運送事業者は速やかに実務対応を進める必要があります。

まず基本となるのは、現在の業務フローや管理体制の見直しです。従来の手作業中心の管理から脱却し、デジタル化による効率化や正確性の向上が不可欠となっています。たとえば、運行管理システムの導入や、ドライバーの労務管理、安全管理規程の見直し、取引先との契約書面の確認は必須です。

特に、法改正で新たに義務化される記録管理(運送体制管理簿の作成・保存や運送契約締結時の書面交付など)に、早い段階でしっかりと対応できる体制に切り替えることが重要です。また、許可更新制の導入に備えて、日常的な法令遵守や安全基準の維持、運賃設定やドライバー待遇の見直しも求められます。

さらに、AIやクラウドサービスといった先進技術を活用することで、データ管理や帳票作成、コンプライアンス対応が効率化され、現場の負担も軽減されます。巡回指導や行政監査への準備も並行して進めること、専門家の助言や認証制度(例:Gマーク)の取得も有効です。

デジタルトランスフォーメーションの推進は、今後の労働力不足や競争激化への備えとしても不可欠なテーマです。トラック新法対応のために、こうした複数の対策を総合的・着実に進めることが、法改正への円滑な順応と自社の持続的な成長のカギとなります。

運送管理を自動化する重要性を解説!

トラック新法の施行により、運送事業者には従来以上に詳細な記録管理と報告業務が求められるようになります。

特に「実運送体制管理簿」の作成・保存や、運送契約時の書面交付義務などが新たに加わり、各種情報を正確かつ透明に管理する必要があります。これまで紙やExcelなど手作業で行っていた管理方法では、日々複雑化する委託関係や多段階の再委託、適正運賃の算出、法令遵守状況の把握などに限界があり、誤記・遅延・証跡不備といったリスクも高まることになります。

そこで、運送管理業務の自動化・システム化が不可欠となっています。運送管理システムを導入することで、配車や引き受け、請求、労務管理まで一貫してデータを集約できるだけでなく、運送体制管理簿や帳簿、契約書類の作成・保管、行政監査向けのレポート出力も自動化できるようになります。また、リアルタイムでの委託関係や運賃情報、契約状況の一元管理が可能となり、万が一の監査やトラブルにも迅速かつ正確に対応可能です。

また、AIやクラウドといった最新技術の活用により、燃料費や人件費の変動、走行距離データと連動した適正運賃の自動算出、各項目のコンプライアンスチェック、ドライバーごとの健康・労務実績の自動記録など、事務負担を大幅に軽減しつつヒューマンエラーや手戻りを最小化することもできるでしょう。自動化を利用すれば、生産性向上や業務の安定化によって、今後ますます深刻化する人手不足や物流現場の高齢化にも持続的に対応できる業務体制を築くことが可能です。

法令遵守・統制強化と業務効率化を同時に実現するためにも、運送管理のデジタル化・自動化は今や業界の必須課題となっています。早期のシステム導入により、法令遵守と業務効率化を両立させることが、持続可能な事業運営の鍵となるでしょう。

運送管理システムの導入ならコモンコム

トラック新法の施行により、運送業界は大きな変革期を迎えています。許可更新制、適正運賃制度、下請け制限、白トラ規制強化、ドライバー待遇確保義務化という5つのポイントは、いずれも業界の健全化と持続可能な発展を目指すものです。これらの変化に適切に対応するためには、従来の手作業による管理から脱却し、システムによる効率的な業務管理が不可欠となります。

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